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by nekogarden

「アリス・イン・ワンダーランド」ティムバートン版

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写真は、多肉植物の「月兎耳」。
アリスの話題にぴったりな感じの可愛らしい名前と姿。
もこもこの毛に覆われててホントにウサミミぽくてキュートです。

さて、話題のティムバートン版アリス、先週日曜日に観て参りました。
遅ればせながら、という感じでしたが。
私はそれなりにとても愉しめた映画だったんですが、旦那は不機嫌になってました(笑)
可愛い衣装や動物達、ファンタジー世界の造作を愉しめない人にとっては、酷くつまらない内容だった模様です。逆に言うとそれが愉しめる人にとっては、それなりに魅力的な映画でもあるわけで。
何処に価値を置くかによって評価は極端に割れる種類の映画だったのかな。

以下は手前勝手な分析や感想、ネタバレなども含まれますので折り畳み。
ご興味ある方のみご覧ください。



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観た後の第一の感想。
タイトルは「アリス・イン・ワンダーランド」でいいのかなぁ…。

この作品は原作とは全く、違う訳で。其の続きを勝手に創作しているんだから。
知らない人が観たらこれがオリジナルだと思って仕舞うではないのだろうか。
まあそんな人は居ないのかもしれないけれど、ルイス・キャロルに対して失礼だろうと私は思います。
内容の出来・不出来とは関係なく、原作からの創作物に対して、原題と同じものをつけるのは何だか違う気がします。
「ヤング・シャーロック」みたいな感じで「アダルト・アリス」とか。
あ、それじゃなんだか大人の男性向けな感じになっちゃうのか(笑)
あー、でもそうか、厳密にはルイス・キャロルの原作タイトルは「アリス・イン・ワンダーランド」ではないんだ、これは通称みたいなものなのだった。そういう意味ではアリスの物語は存在自体があやふやでもあるのだな。


一応、字幕版で観て、一体どのくらい、英語の駄洒落系を日本語字幕で表現出来るのだろうとかなり頑張って英文を聞き取り、字幕を追い掛けていたのですが。
もともと残念な英語力なもので全く駄目でした。そもそも字幕で駄洒落系を表現することは放棄している感じでしたね、むしろこれなら吹き替えで日本語駄洒落で観た方が良かったのかもと思うくらいで。アリスといえばナンセンスな言葉遊びこそが醍醐味なのに少し残念。字幕翻訳が戸田奈津子さんならもう少し捻って頑張ってくれたんじゃないかな〜。

唯一、聞き取れて理解出来たのが、チェシャ猫がマッド・ハッターに帽子を返す時に言う一言の
「good bye,my sweet hat」。
「hat」と「heart」を引っ掛けてるんだわ〜、と、凄く簡単なものをたったヒトツだけ聞き取れた事で満足する私。英語力がもっとあったなら、きっともっとそのアタリが愉しめた筈。

映像世界に関しては、いい意味でも悪い意味でも、とても素晴らしく「アリス・スタンダードなワンダーランド」になっていました。あれ?ティム・バートン色薄くない?というくらいにスタンダード感満載なのは、きっと後々、ディズニーでアリス的アトラクションを作る時にあんまりティムぽいと不都合があったりする大人の事情が色濃く含まれているのではないか、なんて穿った見方をしてしまう。

そう、今回のアリスにはティムお得意の「毒」が非常に少ない。
物足りないわ!スプラッタ感が足りないのよ!的な飢餓感が残ります(笑)
アリスの世界はもっと残酷でいいと思うのです。
だってコドモの世界は残酷でしょう。無邪気に虫の手足をもいでしまうのがコドモです。
そういう無邪気な残酷さの象徴がハートの女王であるべきで。
そんなハートの女王が腹心の部下に恋しちゃってたら駄目じゃん!
首を跳ねるなら思い切り跳ねるシーンだってあってよかった。

勧善懲悪がとても中途半端。
あれはだめ、これはコドモに悪影響、そんな感じで脚本に対して色んな作為が働いた結果、本来あったのであろう毒とかオリジナリティとかが綺麗に平板化してしまった感があります。
結果、総てがぼやけてしまった。アリスの成長譚にしたかったのなら其方にもっとポイント絞るべきだったのに、アリス以外を沢山見せたくて、特にマッド・ハッターの比重が不自然なくらいに重くなっていて、何が言いたいのか良く判らない事になってしまっているのがとても勿体ない。

ここはジョニデをもっと沢山使いたいところをグッと堪えて、アリスメインでもっと自己を深く掘り下げたり内的世界とワンダーランドとのシンクロや不一致などを丁寧に描くべきだったのでは。
ジョニデのマッド・ハッターは悪くはないのですが、居る意味が良く判らない。ストーリー的にはもっと脇に徹していて良かったな。ここまで比重つけるのならもっと居る必然性に時間を割くか、いっそこっちを主人公にしてしまえばいいじゃない、という印象。
しかも全然、マッドじゃないし〜!!常識人じゃん!
常識人なマッド・ハッターていう時点で、完全なる自己矛盾!(笑)

ワンダーランドではアリスだけが正常な思考で生きているからこそワンダーランドなんじゃないの〜。他は出鱈目な夢の中的世界だから面白いのに。言葉が通じてるようで全然通じてないもどかしさとか苛々さとかをアリスと共有するのがこの物語の醍醐味。それをあえて創作世界にしてしまって、結局原作を上回れない中途半端さになってしまったのがとても残念。中途半端なロードオブザリングみたいになってしまって。
アリスの成長譚という視点はありきたりだけど悪くないだけに、色々勿体ないです。

でも映像世界と動物たちはとっても可愛らしくて愉しめました。
特にヤマネとチェシャ猫が。
あとアリスの子供時代、回想シーンでチラッと出てくるんですが、物凄い可愛い女の子でした。
ヘンにオリジナルに拘って弄らずに、ただひたすらに原作に忠実なアリスにした方が良かったなあ。
成長してるアリスがもっとブラックだったらまた、ひと味違った面白さになったのかもしれません。アリスが余りにもフツー過ぎてイイコ過ぎて特色なさ過ぎで。原作アリスは割と空気読まずに言いたい事を口にしてドツボに嵌ってるあたりが面白かったんだし。

ああそうか。そうやって此処をこうしたらもっといいのに!と思わせる事を念頭に置いた作品だったのかもしれない、やるなぁ、ティム・バートン(笑)
by nekogarden | 2010-05-22 11:17 | 映画・音楽など感想